北海道ローカルバス周遊 3日目-1

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朝。日高町は晴れていた。

きっとここは冬はスキー場として賑わうのだろう。

★日高ターミナル755→鵡川駅925
道南バス(特急ひだか号) ¥2000くらい

 ここからは、国鉄富内線の代替バスでもある道南バスに乗って、沙流川沿いに国道237号を走り太平洋まで下ることになる。
 国鉄富内線は鵡川(むかわ)~富内~日高町を結んでいた国鉄で、鵡川から富内までは一本隣の沢である鵡川沿いに上り、そこから横移動して沙流川沿いに上流して日高町まで達していた。そこから先は昨日通った町営バスのルートに沿って根室本線の金山駅へとつなぐ構想はあったが、結局石勝線の開業とともに夢のまま終わってしまった。日高町まで線路が延びたのは昭和39年とかなり後のことで、廃止は昭和61年なのでわずか22年しか営業していないことになる。

 日高ターミナルは待合室があり、時刻表関連は全てその中に貼ってある。道南バスのポールも一応あるが、よく見ると朝に3本あるだけで、それ以外は15:00発の1本だけという極端なダイヤである。

早朝は一般路線の富川行き、高速バスの札幌行き、特急の苫小牧行きがそれぞれ1本ずつ運行される。札幌行きは札幌まで降車不可のため、ローカルな路線バスは残り2本だけである。お出かけ用途の早朝便を除けば、通学用に完全に特化したダイヤと言えるだろう。というよりも普通であれば昨日の日高町営バスに乗って占冠に出て特急に乗ったほうが便利そうだ。

 特急ひだか号到着の直前に日高町営バスの町内循環線がやって来た。苫小牧行きとの接続も取っているようだ。そしてやって来たのは観光バスタイプ。特急というだけあり、途中のかなりの停留所を通過する。といってもどうせほとんど乗り降りがないことを考えても、このような末端ローカル区間は各停留所停車扱いにしたほうが利便性が高いのではないかという気もする。日高町からは女子高生っぽいのを含めて5名乗車。いずれも市街地まで長距離の乗りとおしのようだ。

 出発したバスはすぐに国道237号に入り、快調に飛ばす。ほとんど人家はなく、わずかに牧場や集落がある程度だ。途中わずかに乗車はあるものの、基本的には定速進行という感じ。
 平取(びらとり←読めません)町に入り、岩知志の集落を抜けると日高町の次の大きな集落の振内(ふれない)に到着。富内線のかつての終点だったところでもあり、待合室つきのバスターミナルが完備されている。バスターミナルから少し歩いたところには鉄と洞資料館もあるようだ(写真、道路の奥)。

 次の幌毛志の集落で、実際の富内線は隣の富内へと向かって右に折れてしまう(写真の「穂別」の方面)。

バスはそのまま沙留川に沿っていくため、ここから先は国鉄代替ではない。廃止当初は線路に沿って鵡川~富内~幌毛志~日高町という代替バスが運行されたが、富内~幌毛志は胆振支庁と日高支庁の境でもあり流動が少なかったのか、すぐに本数が減らされて10年近く前に廃止されてしまった。鵡川~富内は元からバスがあったこともあり、こちらは今でも運行している。ということで、富内~幌毛志はバス路線自体が消滅し、正確に跡をなぞるバスはなくなったことになる。

 幌毛志を過ぎると沙流川が太くなり、二風谷(にぶたに)でダムに遭遇。アイヌ民族の立派な資料館がある。それを過ぎると町の中心部の平取の集落に出る。さすがに近隣よりはかなり人が集積している感じだ。セイコーマートも振内以来久々に出てきたし。

 ここまで来ると太平洋まではすぐそこで、ほどなく日高本線の富川駅に当たる。バスはそのまま日高本線沿いに苫小牧まで北上するが、ここで降りても次のバスまで間があるため、鵡川駅まで乗ってみることにする。

★鵡川駅

 鵡川駅は近隣では大きな集落のはずだが、駅前は静まり返っていた。富内線廃止時の交付金で建てられたのか、駅舎は割と立派な作りである。バスと鉄道の時刻表と運賃表が同列に書かれているのが面白い。道南バスの時刻表の上張りや穴を見ると、色々と路線が廃止されていったことがうかがえる。ここには本数が少ないながらもあつまバスも来ているが、残念ながら平日のみ運行とのこと。

 窓口にも誰にもおらず、売店らしき場所はシャッターも降りていて駅舎も異常に静か。これでも鉄道は10往復程度はあって当駅発着もあるのだが......。調べてみると、2006年に無人駅になって売店に発券業務を委託したが、2009年に売店も閉店した模様。

 それでも地元のお祭りがちょうどあったようで、子供神輿が駆け回っていた。

 次の道南バスを待っている間に、むかわ町営バスが2路線到着。この辺りも一般路線は幹線を除いて町営バスに移行している。

さらに、富内線の代替バスの片割れでもある穂別行きが到着。こちらもいつか乗ってみたい。


★鵡川駅1003→静内駅1132
道南バス ¥990

 ここからは日高本線に沿って下る旅に。国道235号上を南下し、点在する集落を結んでの運行となる。この路線は苫小牧始発なので完全に鉄道並行なのだが、鉄道よりも密に停留所を置いていることで鉄道と共存しているのだろう。といってもバスは3往復(+新千歳空港~浦河の急行バスを含めて4往復)と本数は少なめ。かつては日本のいたるところに鉄道と並行する長距離一般路線バスがあったが、このように現存している例は少なくなりつつあり、北海道は例外的に多く残っているとも言える。

 次の目的地の浦河はまだ遠い。

 ちなみに「日胆国境」というそのまんまのバス停(支庁境界なのに国境......)を抜けると富川・門別の町に入るが、ここの町名は出発地と同じく「日高町」で、飛び地合併になっているようだ。すぐに左手に門別競馬場が見える。ここからはサラブレッド地帯となり、沿線にウマの牧場がやたらと目につくようになる。

 ちょっと中二な感じの名前が最高ですねエンドレスファーム。

 日高門別の駅を過ぎると線路と沿うように国道も太平洋沿いになり、左手は海、右手は牧場という景色が多くなる。ここから浦河までの区間は車窓も良く、オススメ。

 次の新冠町に入ってもこの景色は特に変わらない。乗客は少しの乗り降りはあるものの、短距離の乗降がメインで、長距離を乗りとおしているのは自分以外にはいなかった。

 新冠駅を過ぎるとすぐに新ひだか町に入って終点の静内の集落となる。静内は沿線の中でもとりわけ栄えているように見え、この辺りだけロードサイド店の出店もかなりまとまっている。

 この手前くらいからぽつぽつと乗る人が増えて、駅手前の商店集積地帯でまとめて降りていった。ここでも鉄道よりもきめ細かい輸送を実践しているように見えた。
 ふたたび乗客がわずかになると、すぐに終点の静内駅に到着となる。鵡川から静内まで50kmは越えているはずだが、1000円しないというのは鉄道並行だからだろう。ちなみに鉄道だと1,040円となる。安かった。

 静内駅到着。そういえば、道南バスは割と日デ車が目立つ気がする。

 静内駅は駅舎内にみやげ屋や案内所とバスターミナルの役割も兼ねている。
 駅そば開業中。麺のコシという概念からは1万光年くらい隔たりがあったが、ちょっとうまかった。

 さて、静内駅からはさらに日高本線に沿って南下しようと思ったら......同じバスだった。田舎のバスではありがちだが、同じ車で回しているらしい。それだったら通しの路線にしてくれればいいのに......とも思うが、再び同じバスに乗り込む。

★静内駅1148→役場前(浦河)1259
道南バス ¥

 ここから浦河までは、日高本線が山に寄るのに対してほぼ海岸沿いを走り続けるという違いがある。急峻な山が海のそばまで迫る場面が多くなるからであろうが、鉄道に完全並行でないためか、苫小牧~静内よりも本数はわずかに多くなる。
 
 車窓も、そのためかバスのほうが良い感じがする。

沿線の牧場も今までよりは少ない、というよりはもう少し内陸に点在しているのだろう。それでもまだウマの姿を多く見かける。

 
 静内ゆきとすれ違い。

 そうこうしているうちに浦河駅に到着。バスの行き先は「浦河」となっているが、実際は浦河駅からは少々離れた浦河老人ホーム発着で、駅の最寄は役場前となる。その隣に「浦河駅通」という停留所もあるが、実際は役場の前に跨線橋直結の裏口があるため、駅通りで降りると駅からは結構歩くハメになる。

 役場前に立派に鎮座しているのが「昆布干す乙女像」。この地域は昆布の名産地、そして昆布といえば短期決戦での乾燥行程が重要とされている、からかな? 干している割には噴水で始終濡れっぱなしであるのは考えないことにしておく。

 ここで札幌ゆきの高速バスがやって来た。なかなかの長距離高速バスだが、1日7往復も運行されており、道南バスの重要路線の1つ、かつ、沿線の主要交通機関でもある。さすがに今までとは違う新しそうな車で運行されていた。

 跨線橋を渡り、駅の正面に出る。浦河駅は有人駅だが、跨線橋はホームに直結しているので、この場合は一旦ホームから改札を出てキップを買うことになる。浦河駅舎は国道に背を向けるようにして建っている。駅の前にも並行して道路が走っており、かつてはこちらがメインの道路だったのかもしれない。

 ここからは様似までJRバスが走っているが、ちょうど手ごろな時間のものがないため、様似まで少しの間列車に乗ることにする。


 

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