都の紋章、東京都シンボルマークについて補足させていただきます。
「Tマーク」と呼ばれ都営交通の車両などに表示されているマークは、平成元年に制定されたもので、東京都シンボルマークといいます。
「Tマーク」という呼びかたは後述します都の紋章と区別するためのものであり、正式な呼称ではありません。
シンボルマークが東京都の頭文字「T」を秘めた形状をしていることからそう呼ばれるようになったものと思われます。
一方、従来の都の紋章が「Tマーク」に替わったわけではなく、紋章とシンボルマークを使い分けています。
「東京都紋章」は、矢のような6本の直線が放射状に広がる形状のマークで、従来から使われているこちらの紋章が今でも正式な都の紋章です。
明治22年、東京市の紋章として制定され都制施行後も引き継がれたものです。
紋章が表現する意味は、東京の発展を願い、太陽を中心に6方に光が放たれているさまを表し、日本の中心としての東京を象徴しているとのことです。
さて、明治44年の創業以来使われてきた東京都交通局の紋章(内部では「局紋」と呼ばれる)も都の紋章と同じく、「Tマーク」に替わったわけではなく、局紋と都シンボルマークを使い分けています。
とはいっても、現在乗客の目に付く場所には基本的に使用していないようです。
局紋は東京都紋章の矢の部分を稲妻に置き換えたもので、創業時東京都電気局という名称で昭和17年まで家庭などに配電する電灯事業も行っていたことから電気を表すデザインを取り入れたものです。
「Tマーク」に変わる直前まで使用されていた最近の局紋は稲妻部分が緩やかな波型(〜)をしていますが、戦前や戦後間もない頃の写真を見ると稲妻部分が波型ではなく、はっきりと稲妻型をしています。
局紋は帽子の記章や制服に着けるバッジに表示されていたほか、昭和50年代までの制服(濃灰色)はボタンが局紋入りの金属製でした。その後平成6年ごろまで着用された制服(紺色)まで局紋が使われました。