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方向幕デザイン概論・前面

 ここでは、都営バスの方向幕のデザインについて、簡単な分類を試みたいと思う。 なお、対象とするのは、当方の手持ちの写真の制限より、大型方向幕のみを取り扱う。(ローマ字なし時代の幕が写った写真を募集中!)

1.書体

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 先代のH代(昭和55年度納入)より、前面方向幕の大型化が図られ、左のようなデザインとなった。基本的な色使いやデザインはローマ字が無いことを除けば現在のものとほぼ同じだが、手書き風の味がする独特の書体が「昔らしさ」を醸し出している。細かいことを言えば、途中経由地と行き先のバランスが偏っている。
 ローマ字併記の方向幕が入るまではこれと下の2番が標準だったが、ローマ字入が導入されてからは細々と一部の車に残るのみとなり、平成12年の大江戸線改編に伴う幕交換で消滅した。文字配置のデザイン自体は深夜バスの幕で残っているが……

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  いつ頃からかあったかは不明。もしかしたら大型方向幕になった時点で存在し、メーカーの違いで書体が異なるだけだったのかもしれない。デザインは上と同じだが、書体が石井太丸ゴシック(だろう)となっている点が異なる。これもローマ字方向幕の導入でだんだんと駆逐されて行き、上と同じく現在は消滅した。

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 平成2年ごろから、サービス向上のため、前面・側面にローマ字を入れることになって作られたのがこの幕。系統番号の書体は昔のままだが、文字部分にはおなじみナールを採用している。ちょうどこの時期に都市新バス化された都06の目黒所属V代はこの書体ばかりだったが、数年も経たないうちに後述する4番の書体が標準となったため、実は少数派であった。このデザインの幕も大江戸線改編の幕交換で数を減らし、現在は杉並・練馬・千住・青戸・南千住に残るのみである。

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 平成4〜5年ごろから使われたデザイン。系統番号の数字部分は昔のままであるが、書体を変更し、落ち着いた感じのする太丸ゴシックになった。個人的には最も好きなデザインである(聞いちゃいないって?)。平成10〜11年ごろまで、継ぎ足し用に新製された幕の書体は全てこれであった。しかしこれも大江戸線改編の幕交換で標準の地位を追われた。現在は杉並・小滝橋・練馬・青梅・巣鴨・千住・青戸・南千住・臨海に残っている。

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 平成12年の大江戸線改編で大々的に使われるようになった。4番の書体と雰囲気は似ており、系統番号の数字の書体は昔のままだが、微妙に細部が異なる。改編以前でも、臨海の葛西21や深川の亀21 亀高橋など、この書体を用いたデザインも存在した。書体名は不明である。大江戸線改編の幕交換で、目黒・渋谷・大塚がこのタイプとなった。

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 平成12年の大江戸線改編で登場した幕。最近民営各社でも使われることの多い、フォントワークス社のスーラを用いている(個人的には嫌い)。数字の「7」が結構特徴的だと言えるだろう。新宿・北・深川がこのタイプの幕となっている。しかし5番と同じく、ゆくゆくは7番のデザインに統一されていくだろう。

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 登場は5・6番に同じ。品川・早稲田・江東・葛西がこのデザインとなっている。1世代前標準の4番のデザインよりも太い丸ゴシック体で、ぽってりした印象を与える。数字の部分も同じ書体を横に潰したもの(長体)が用いられており、ついに伝統の数字書体は消滅した。どの営業所でも、追加で刷られた方向幕は全てこの書体となっているため、これが今後の標準書体だと考えられるが、平成15年3月の改編では5番のタイプが再登場し、混迷の度は深まっている。

2.色

 方向幕の色として用いられているのは、地色の白のほか、紺・深緑・灰・黒・青・藍・赤・黄・橙・草色・水色・紫・金が使われている(いた)。このうち、文字色として使われるのは、紺・深緑・黒・橙・赤の5色である。

 いわゆる「カラー方向幕(地色が白以外のもの)」が始めて用いられたのは、昭和58年に都市新バス化された都01で、青地が使われたのが最初である。特別な系統という意味合いを持たせるために色でも差別化したと思われる。続く都02も青色地を採用したが、グリーンアローズの都03・04・05は、03が青色地だったものの、04が深緑地、05が橙地の幕で登場し、一気にカラー化への道を進むことになる。その後もカラー化は続き、誤乗防止のために色を変える(東12・15・16、昔の東43・茶51、東20・22など)、ということも行われている。もっとも、色を変えたほうがいいところが白地のままだったり、意味のないカラー化を行ったところもあるなど、色付きになるかどうかは方向幕担当者の胸先三寸となっているようだ。

●文字色
基本
三色

 基本三色とは、すなわち系統部分の深緑、経由地部分の黒、行き先部分の紺のことである。この配色自体は、方向幕が大型化された当時から変わっていない。



「プロムナード」や「急行」「直行」など、アクセントを出すときに用いられる。そりゃそうだ、全部橙色だったら見にくいことこの上ない。珍しいものとしては、平成15年1月に廃止された、上58の上野駅発着便が「上野駅」の部分だけ全て橙字となっていた。通常の上野松坂屋と区別するためであろう。

 赤色は意外や意外、虹01のテレコムセンター経由便のところで用いられていたのみである。それも現在の版ではオレンジ色のようだ。

●地色

 最初にカラー地が採用されたのは都01であるが、そのときから使われている色。この他、都02・都03・都07で使われている。

深緑

 系統番号の部分を地色にしたもの。渋い色である、都04で使われる以外にも、南千48や、上23(墨田区役所経由)が用いている。平成14年末で廃止となった上69の上野駅発着便もこの色であった。

 青よりも使用頻度が高い。あくまでも「黒」ではなく、灰色であるところがポイント。太陽光の下だと違いがよく分かる。都02乙・06・08・CH01・東16・亀23・草24(亀戸駅発着)・西葛26で使われている。かつての茶51・東京駅北口発着便や、品91の仙台坂トンネル経由大井町駅〜八潮パークタウン・初代でも用いられた。

 意外と都内では黒の使用頻度は低い。深夜バスが黒地に黄色字というスタイルを貫いている(後述)くらいで、黒地に白字というのは、廃止された井91や品91の仙台坂トンネル・2代目くらいだろう。もっとも、青梅支所の幕は全てこのスタイルであるので、関東バスみたいな色使いが見たかったら青梅に行くと良いだろう。

 微妙な色である。藍色という項を立てていいか迷うが、近年新設された東12をここに押し込めておく。
#こんな写真しか見つからなかった……

 地色としては、アクセスライン(AL01・02)専門色である。100円バスということで、他と明確に区別する必要があるからだろう。なお、地に色がつく場合、通常文字色は白となるが、黄色の場合だけは紺字となる。確かに黄色−白だと、強烈に見づらいはずだ。


 白字のため、昼間はどうも見づらいと専らの評判である。都05がこの色を用いている。これだけかと思っていたら、平成14年に飯62が、そして平成15年に池86の池袋駅東口止まりがこの地色の幕を使うこととなった。他にも地色として、急行バス系列(急行01〜05・FL01・直行01)で使われているが、こちらは黒字のため、だいぶ見やすい感じがする。

 平成9年に誕生した、レインボーブリッジを渡る系統・虹01が身にまとう色。上述の青色地よりも、数段明るい感じのする色である。現在のところ、水色はこの系統だけである。

 虹01の弟分として開通した虹02が使っていた色。綺麗な黄緑色である……と思っていたら、平成14年のりんかい線全通で廃止されてしまった。現在、この色を使う系統は存在しないことになる。

 まるで京都市バスの幕のような上品な色。平成13年に新設された、東20が使うのみである。

−(画像なし)

 これも見づらい。一時期走っていた銀ブラバス(銀座01)が使っていた色で、金色地に白字という、今から考えると結構ショッキングな配色の幕であった。現在は車も地方に売られ、第二の人生を送っている。

●番外

 これ以外でも、固有のマークに色を使うことがある。系統番号の部分がイラストになっている系統がそうであり、熱帯魚のイラストの夢01(廃止)、虹をかたどった旧・虹01・02(レインボーブリッジまでしか行かないもの=廃止)、現在の虹01のレインボーブリッジのイラスト、梅01の梅の花がそれに当たる。

3.配置

3.1 系統番号+行き先








 もっともシンプルなパターンである。途中経由地をわざわざ書く必要のない場合が多いが、行き先の文字数が多すぎて、途中経由地を書くスペースがないというときも、こうなってしまう場合がある。




 このように、行き先の下に補足が入るときは、行き先は単純に縦に圧縮されるだけではなく、級数も小さくなる。普通は上の「(浜松町バスターミナル)」のように、別名や、より詳しい名前を掲出する場合に使うが、下の2つの例のように、経由地をこのような形で表現する場合もある。経由地の色は、行き先の文字色と同じ場合(王46)と、途中経由地に使う黒を用いる場合(反94)とがある。まあ、担当者の胸先三寸だ。

 現在の早77、そしてかつての橋86などには、歩行者天国用の「プロムナード」幕が装備されていた。その場合も行き先の上下(この場合は上)に「プロムナード」の文字が入り、経由地が違うことをアピールしていた。下の艇09の場合は系統そのものの補足として「直通」という文字を入れていたが、この場合は行き先とローマ字の間には入らず、最下段に押し込んでいる。

3.2 系統番号+途中経由地行き先

もっともよく見られるパターンである。とりあえず途中経由地1文字しては「雷(葛西22)」があるが撮影していないので、2文字のものを。