都営バス資料館

都市新-都市新バス格上げ車

都市新バス系統は都市新バス仕様のハイグレードな車で運行するというのが21世紀に入る頃までの決まりごとだったが、中には例外もある。
ここでは、一般仕様車が都市新バスに格上げされた例を中心に示そう。

1. グリーンライナー[都02]格上げ車

昭和61年3月の[塚20](大塚駅~錦糸町駅)の都市新バス化にあたっては、路線長も長く本数も多いことから、49輛の新車を必要とした。
しかし、都市新バス第一弾の[都01]で国(運輸省)の援助があった時とは異なり、車輛購入費は交通局の自前で捻出する必要があった。そのため、49輛必要だった都市新車のうち、新バス化の時点では新車を28輛を入れ、残りは所属車の中で比較的新しいL~N代(昭和57~59年度車)をそれぞれ7輛ずつ改造した。

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▲G-N353 格上げ車[き]

改造は昭和60年12月から翌年2月までの間に東京いすゞで行われた。改造内容としては、前面にシンボルヘッドマークと愛称板を取り付けたほか、後面には「乗降中」表示灯を取り付けた。車内設備では、座席シートを都市新バス標準色への張り替えを行い、降車押しボタン・次停留所名表示器は都市新バス仕様のものを取り付けた。
さらに、N代は車体が新型のキュービックボディとなっていたことから、前面方向幕左右の板の色が黒から青に取り替えられた、ただし、いずれも愛称板は行灯にはならず、ただの板であった。
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▲G-L615, M124 格上げ車[き]

改造が終わった車は[都02]化する前の[塚20]の運用に入ったが、この姿はごく限られた時期のみであった。[都02]化して以降は専属として運用に入ったが、特にL・M代はスタイルの違いもあって差は歴然であった。一部では「ボロライナー」と呼ばれることも。所要車輛数が減る休日ダイヤや夏休み期間中を中心に、他系統にて運用する姿も見ることができたが、その時は都市新バス専用車と同じく、ヘッドマーク・愛称にカバーをつけて隠していた。
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▲G-N353 格上げ中のカバー運用[o]

昭和63年度のT 代から都市新バス専用車の増備が始まると、順次これらの格上げ車は[都02]の運用から外れていき、平成元年度のV代の導入でもって全車一般系統になり、3年間の活躍を終えた。その後、ヘッドマークは局紋/イチョウに、愛称板の部分は取り外されたものの、その他の内装は外されず、N 代の前面方向幕脇の青いプレートもそのままであった。
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▲G-N355 再度格下げ後[き]

2. グリーンアローズ[都04]格上げ車

グリーンアローズ[都04](東京駅南口~豊海水産埠頭)用の専用車については、平成12年12月に最後まで残った初代S代5輛が除籍された。
これに代わる新車は現れず、Z代の一般車5輛(Z279,280,286,287,289)を格上げしてヘッドマーク・ステッカーをつけて運行を始めた。途中で頭数が足りなくなって一般車を格上げした例はこれが初めてだった。都市新バスは専用車で運行、という原則が崩れ始めた瞬間とも言えるだろう。
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▲L-Z287 格上げ後[塩] car_217
▲L-H318 ヘッドマーク・愛称札つきで登場[北]

ちなみに平成14年初頭にH代が入籍すると、中型ロングであるJPのうち3輛(H318~320)にヘッドマークと愛称札が付いて、専用車として運転が始まった。
当時は収容力に劣る中型ロングでも都市新バスの運行に入れると判断され、各地で「中型ロング専用車」が誕生したが、[都04]の車もそのうちの一つである。しかし、利用客が多かったことには代わりなく、混雑に不向きとあって、しばらくするとヘッドマークを外されて一般車に戻った。また、平成15年の[都04]深川移管により、Z代の格上げ車も再びイチョウに戻された。
 
このときの深川移管で都市新バスの所要数が足りなくなるためか、A510にヘッドマーク・愛称ステッカーが付けられた。いすゞ+富士重工の格上げ例としては唯一である。ただし、これ以外の一般車が都市新系統に入る姿も多く見られた。

▲S-A510 格上げ後

3. グリーンエコー[都06]格上げ車

グリーンエコー[都06](渋谷駅~新橋駅)の初代専用車である目黒・渋谷のV代車が平成14年初頭に除籍され、代わりとして一部は[都01]用に使われていた都市新バスW代車を転用した。都市新バスの付け替えを参照。
これだけでは専用車が不足するため、渋谷では一般車のX445, 446を格上げした。ヘッドマークを交換したほか、その下にW101と同じ「グリーンエコー」のステッカーを貼ったが、地に凹凸があるため、美しさは今一つ不足していた。この2輛は平成15年初頭のK代ノンステップバス入籍で除籍されたため、この姿で走ったのは1年程度のことだった。

目黒持ちではD268, 270, 318, 321は格上げされ、全てヘッドマークが取り付けられた。D268, 270は低公害バスの行灯だったため、愛称ステッカーはD318, 321に限られた。
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▲B-D268[ア] car_230
▲B-D270[タ] car_225
▲B-D318[ア] car_231
▲B-D321[ア]

これに加え、[都06]の所管が渋谷に統一された平成15年4月の目黒・杉並→渋谷の転入で、D319は渋谷転属後にヘッドマークだけ差し替えられた。ただし、愛称表示がないため、今一つ間延びした印象を与えていた。
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▲B-D319[ア]

同時に、杉並からY784, Z320, 329, 330のHIMR車が転入した。このうち、Z329, 330はヘッドマークが取り付けられた。Y784は内装も都市新バス仕様だったがヘッドマークが付かなかったのは面白い。
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▲B-Z329[ア] car_227
▲B-Z330

平成17年末には北から日デのZ271が転入してきた。わずか3ヶ月の活躍となった異色の富士重工ボディ車だったが、Z271は都市新HIMRの代替という意味か、ヘッドマークをつけて走った。同じく転入したZ277にはつかなかった。
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▲B-Z271[ア]

これ以外では、平成15年の新車ではL703のみヘッドマークが入った。後に愛称板も用意され、数少ないエコー仕様車となった。これ以降は新車導入時にヘッドマークをつけた車は平成18年度のP490, 491の2輛だけと少ない。平成17年末に転入したM198(平成22年に江戸川転出)は愛称板のみエコー表示になった。平成21年春に転入したM204, 205はエコーのヘッドマークを付けたが、間もなく外されてしまった。
平成23年で最後まで残った日野車のD268, 270も除籍され、当時の格上げ車は全て姿を消した。

4. グリーンスター[都07]格上げ車

グリーンスター[都07](錦糸町駅~門前仲町)が平成15年に江東に移管された後、当時の最新鋭のノンステップK499が新たに格上げされた。一時期(平成24年頃)のK499はヘッドマークの正しい向きから90度ほど左に回転して装着され、鳥の頭が上を向いている状態で走っていたが、後に正しく直されていた。
ヘッドマークのみ格上げされた例としては、D216が挙げられる。移管と同時ではなく、しばらく後(平成16年頃?)になってからだったようだが、専用車から離脱したこともあり、2年ほどで取り外されてしまった。また、フロントガラスに引っかからない下寄りの位置にヘッドマークがついていたのも特徴的であった。

▲L-D216

▲L-K499[五]
▲L-K499 頭の向きが変[五]

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