都営バス資料館

低公害-日野新型ハイブリッド

日野の新型ハイブリッド試験車。Z代(平成26年度)で2輛導入され、試験車として平成26年4月~27年9月の間運行された。同様な時期に東急バスでも1輛運行されていた。
これを市販化したものとして平成27年12月より新型の「日野ブルーリボンハイブリッド」(QSG-HL2A系)が発売されたが、都営バスでの導入は現在のところない。

 既存のブルーリボンシティハイブリッドと比べ、外観で最も変化したのは屋根上である。従来は大きさがかなり目立っていたバッテリーとインバーターモジュールの小型化が行われた。屋根上前方に積まれているのはバッテリーで、これまで通りニッケル水素電池を採用したが、品質改良で小型化と容量・出力向上の双方を実現した。また同様に屋根上にあったインバーターモジュールも小型化が行われ、右側リアオーバーハングへ移設している。クーラーユニットはデンソー製のものが搭載された。また、試験車らしく、側面後ろにHINOのロゴが入っているのも特徴的と言える。また、外観では「Hybrid」のロゴが新しくなったほか、局番の数字が旧来の伝統的な書体に戻った。背面窓ガラスのブラックアウトも随分と小さく変更されたほか、乗降中表示機も車いすマークが点灯するタイプとなっている。
 
 足回りは大きく変化した。従来はHIMR時代からエンジンとモーターが直結だったが、日野ハイブリッドトラックで実績のあるエンジンとモーターの間にクラッチを介する方法が採用された。発進時はエンジンがアイドリング状態でモーターのみで加速、一定速度になるとエンジンとモーターのクラッチが繋がりモーターがエンジンをアシストする従来のハイブリッド運転となる。減速時も回生ブレーキが働くが、ブレーキ方法によって回生力が異なり、基本はクラッチを切った回生優先フットブレーキとなるが、リターダーレバーを引くことでクラッチを接続した状態(エンジンブレーキ併用)でブレーキをかけることも可能となっている。これらの制御を担っているのが、バス用としては新開発のAMT(AutomatedManualTransmission)で、シフト数は6速である。既にいすゞ・エルガハイブリッドではAMTを採用しているが、輸入品ではなく内製のものを採用したようだ。
日野自動車はすでにトラック用AMTは高い評価を得ているが、路線バス用は初採用となるため、都営バスでの実車試験では1輛をAMTのドライブレンジ限定、もう1輛はドライブレンジ/マニュアル変速併用でデータ採取が行われている模様である。
 
 エンジンは新設計の直列4気筒エンジンを搭載し、エンジンの小型化で生まれたスペースにはインバーターモジュールが搭載されている。日野自動車のエンジンは基本的にトラックに採用されたものの流用が多く、バスのために新設計というのは珍しいと言えるだろう。
 
 タイヤホイールにはアルミホイールを採用しており、銀色はかなり目立っている。車内座席レイアウトは通常の座席削減仕様車と同じで、他の部分も既存の都営バス仕様に合わせてあるが、座席モケットが運転席と同じく座っていても蒸れにくいメッシュ素材のものが採用されている点や、最後部座席の天井部分の衝撃緩衝材の素材が変更されている点や後ろ側座席の握り棒配置など、細かい違いはいくつか見受けられる。
運転席はメータークラスターこそ既存車と意匠が同じだが、メーターパネルとAMTシフトレバーに日野プロフィアの部品を流用し、メーターパネルは透過照明式メーターで、グリーンゾーン・レッドゾーンにLEDランプを採用。速度計とタコメーターの間には3.5インチのTFTフルカラー液晶のマルチインフォメーション・システムがあり、省燃費表示等の情報を表示させることが可能となっている。
 
 シフトレバーはセミオートマチックトランスミッションの「ProShift12」を路線バスAMT用に改良したものが搭載されている。試験運転開始直後は平日のみ運行で、[東16](東京駅八重洲口~東京ビッグサイト)・[門19](門前仲町~東京ビッグサイト)の2系統で午前番の固定ダイヤで運行されていた。12月からは固定運用が解除され、各系統に入るようになった。

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▲S-Z501, 500[濱]

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