記録=田中敏夫さん、まこっちゃんさん、タクゾーさん
少年漫画雑誌(ジャンプもしくはチャンピオン?掲載号不明)に掲載されたカラー記事である。都バスの新塗装にからめた「世界のバスの色塗り」の特集のようで、今ではまずお目にかかれないタイプの記事だろう。昭和43年からクリーム色+青帯で親しまれてきた都営バスが、G代の一部車から突如黄色に赤帯の塗装となったもののあまりに不評だったことを受けて新しい現行の塗装にチェンジする……といった内容の記事が書かれている。実際にこの塗装となったのはK代後期からである。
ちなみに、赤黄帯は美濃部都知事からは「ウンチ色」、色彩専門家からは「都市景観に合わない」、他にも「どぎつい」「やぼ」など聞こえてくるのは悪い評判ばかりだった。
その下に載っている写真が、最終決定時にアンケートを採った3タイプの写真。Aタイプが採用されたもので、B・Cタイプの案もあったようだ。Bはどことなく小湊を想起させる色分け、そしてCはなかなかないタイプである。ちょっと重苦しい感じかもしれない。個人的にもAが一番優れているように思う。BやCだったら、今の東京の感じも結構違ったものになっていたかもしれない。そしてオマケとして特別出品の塗装が右下に掲載されているのだが、これは……いくらなんでも……。何というか、遊園地バス的なダサさを包含した前衛的なかほりさえ漂う一品、といった感じである。(追記:なんとあの岡本太郎画伯のデザインで、側面の黄色は東京都の形をモチーフにした模様。でもやっぱり……)
これらの展示は昭和57年3月に交通博物館の中庭で一般に展示され、同時にアンケートも配られた。
Aタイプ…S-S408(いすゞ(富士)BU05D、足立2い2974)
現行のナックルラインの上下に深緑色の細い帯を足した形。緑も今の色より緑成分が強い。
Bタイプ…S-S406(いすゞ(富士)BU05D、足立2い2972)
フロントマスクは赤に白帯と前だけ仮面を被ったよう。側面は中に赤帯、上下が灰色とデザインの連続性には欠ける。
Cタイプ…L-T560(日デ(富士)4R104、足立2い3058)
白、黄色帯、下は紺色の三分割。落ち着きはあるが、明るい感じがあまりない。
特別出品…?(いすゞ(富士)BU05D、足立2い2969)
「選外となったものの岡本太郎氏が強く推すデザイン」らしい。もしこれが街中を走り回っていたらと思うと夜も眠れない。
結構レアだと思う「色彩アンケート」の用紙。会場ではこれが配られ、訪れた人たちが投票を行ったようだ。
アンケートには9,438人が応じ、A案が5,400票と57%を獲得してトップ、以下B案が24%、C案が15%、どれも良くないが4%であった。また、3.の現行の色については「良い」が33%に、4.の特別出品は「良い」が42%あった。交通局はこれを元にA案を選び、帯のデザインを少々変更し、また緑色ももう少し薄目にして最終決定を行った。この決定をもとにストップしていた昭和56年度(K代)後期車の塗装を行い、4〜5月から年度をまたいだものの新塗装の車が各地に入ることになった。
(タ)
U-K521…日デ(富士) K-U36K-AR